Life Tips

Tips for a healthy and chic lifestyle.

花が教えてくれたこと

若いころ、お花教室に通ったことがあります。
当時、東京田園調布にあった高橋永順さんの花教室。
そこで教えていただいた、美の原則。
シンプルだけど、お花に限らず、今でも役に立っています。

人が「美しい」と感じるには法則があるということ。もちろん「絶対原則」ではないのですが(^^;
でもやっぱり、人が見て自然と「落ち着く」、「心地よさ」を感じるという意味での「美」は普遍的。

・偶数より奇数
・ど真ん中は避ける
・少しずらして、少し傾けて
・等間隔に並べない、平らにしない
・奥に、前に
・重みは下へ
・しなやかな曲線、流れを生かす

まだまだあります。
驚いたのは、その辺に咲いている野の花や雑草たちにも、群生する野生の森にも、この法則が溢れていること。

そうそう、特に、永順先生は「植生的」な活け方を重視していたのでした。
自然がお手本。
わたしたちは、ただ自然の一部を切り取ってお部屋の中へ持ち込んでいるだけ。
何度も言われました。
お花そのものが美しいのだから、人間の技ではなく、花そのものの美しさを見抜きそれを生かす。ただそれだけと。

両腕にいっぱいのお花や枝を選ぶところからはじまり、
それぞれの特徴を眺めつつ活けていきます。
お花一本一本を、くるくる角度を変えて眺めては、活けました。
半日かけて活け終わります。
貧血でふらふらになったこともあります。笑

疲れるのはさておき、
気づかされるのが、美しさのヴァリエーション。
それまでは、好みの花しか買ったことがありませんでした。
でも、花教室では、先生が「これも入れて!」と思いも寄らない花をつっこんでくるんです。(苦笑)
そして、授業の最後には、お弟子さんが生徒たちがその日選んだお花たちのリストをもとにパチパチと電卓をたたきます。お会計です。
「花選びの時に値札が付いていたら、選択肢に影響が出ちゃうでしょ??」と先生。確かにそうです。だから、毎回毎回お会計の時間はひやひやでした。汗

でも、花を「活ける」だけではなく、「選ぶ」という事はここでしか学べなかったことの一つです。
美しい、綺麗といっても、いろいろな美しさ、それぞれタイプがあって。
主役もあれば、他をびっくりするほどぐっと引き立ててくれる脇役もいます。
その存在感は圧倒的で、脇役にしてなくてはならない存在でもあるんです。
そういう存在の花を、花選びの段階で選べるようになるには経験が必要です。
本当に勉強になりました。

ところで・・・・
人それぞれの美しさも、花と同じだなと思うんです。

最近では、コンテンポラリーとかアブストラクトとかいって現代的なアレンジもはやっています。奇抜なのも時には楽しいし、そこに意味を付したり「表現」として価値があると思います。

でも、本来の美しさは、別物のような気がします。
それはすごくつつましくて、謙虚だったりします。
一見つまらなく見える小さな小花も、たくさん集まって群生すると雄大な山を背景に素晴らしい景色を構成したりします。

だから、人間が頑張って、きちきち並べてみたり、派手に装ってみたり、形をかえてみようとするよりも、ずっと良かったりするんですよね。

つくづく、人間の美しさも同じかなと思います。
まずは自分の内側外側を角度を変えて見つめなおす。

すると、どこを引き出したら落ち着いた心地よさを醸し出す人になれるかがわかってくるような。

 一面に咲くシロツメクサのように、そよかぜを感じるようなさわやかな人。

 桜のように大きくて、でも繊細にふわっと包み込んでくれるような女性。

 薔薇やシャクヤクのように、ぱっと華やぐ人。

自分はどんな存在なのか
それとも、どんな人でいたいのか
それがわかると、何を着るか、何を塗るか(笑)もわかってくるのかも・・・・

数年後、ヨーロピアンスタイルのアレンジも学びました。
スタイリッシュなアレンジで好きでしたが、わたしはやはり「植生的」なアレンジが大好きです。

ありのままで自然な姿が好きなのかな。

だから最近はメイクや服の選び方も、今まで以上にシンプルになってきました。
そうすると、心地よいから。
それぞれの花のように、みんなそれぞれが自然体でいられたらそれが一番幸せなんじゃないかと、そんな風に思うのです。